2014年以降、事業所、企業、自治体、行政、医療、研究・教育機関など、就労支援にかかわる
キーパーソンがさまざまな議論を続けてきた「就労支援フォーラムNIPPON」は今年で11 年目。
10年間を総括した前回でひとつの区切りをつけ、今年から新たにSEASON 3へ突入します。
今年も開催は12月。初心にかえり「何のための就労支援なのか?」を再確認するとともに
不要なのものを脱ぎ捨て、新たに必要となったものを獲得することで、再起動を図る契機とします。
今回もオンライン配信は行いません。2日間、東京ビッグサイトにて、直接・対面で
徹底的に議論を戦わせ、交流を深め、全力で未来へ進みます。
■ 13:00 オープニング
後援あいさつ 伊原和人(厚生労働省 事務次官)
主催者あいさつ 尾形武寿(日本財団 理事長)
■ 13:15-13:40 基調セッション
「僕は運転免許を取りに行きはじめた」
白石圭太郎(社会福祉法人チャレンジドらいふ 理事長)
菊地真寿美(ソーシャルファーム大崎 工場長)
大沼勇人(ソーシャルファーム大崎 社員)
[進行]竹村利道(日本財団公益事業部 シニアオフィサー)
誰のために何のために就労支援はあるのか? その答えの一端を、低工賃なのに事業者収入はあるという福祉的就労をやめ、一般就労化するという決断をした法人が宮城県にあります。利用者だった障害者は労働者となり、丸めがちだった背中が伸び、やりがいを語ってくれます。次に会った時、彼は「運転免許を取りに行きはじめた」と伝えてくれました。「うそだ」と返しそうになった言葉を飲み込み、就労支援の本質を見た思いで胸が熱くなりました。その彼を交えた基調セッションで、いまあらためて私たちはなぜ彼らのそばにいるのか? について考えてみたいと思います。
■ 14:05–15:05 基調ディスカッション
「ビジネス感覚と福祉ビジネス」
藤田英明(一般社団法人全国障害福祉事業者連盟 理事長)
市川 亨(共同通信社特別報道室 編集委員)
尾仲希代(株式会社JALメンテナンスサービス 社員)
[進行]竹村利道(日本財団公益事業部 シニアオフィサー)
巷には、障害者が商品として、制度が金儲けのために取り扱われる事例が多くあります。そして、新たに紹介業という形態も現れてきました。福祉にはビジネス感覚が足りませんが、福祉ビジネスとなると話は別だと思います。現状を知り、警鐘を鳴らすべきと考え企画したものです。みなさんはどう考えるでしょうか?あなたは何のために就労支援を行っていますか?
■ 15:20–16:00 行政説明
「厚労省課長への質問」
伊藤洋平(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課 課長)
西澤栄晃(厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課 課長)
[進行]遠藤千冬(一般社団法人日本作業療法士協会制度対策部 部長)
最新の障害者就労支援の施策と今後の動向を把握するために定番となっている行政説明。例年、説明終了後に質問や意見が厚労省に対して多く寄せられていることを受けて、今回は定番のこのプログラムを説明から質問にひっくり返してみました。事前に寄せられた質問を福祉、労働のそれぞれの側面で管轄する両課長にお答えいただき、みなさんの理解を深めていただきたいと思います。
※質問は下記までお寄せください
forum_nippon@tobutoptours.co.jp
■ 16:05–17:05 パネルディスカッション①
「WORK! DIVERSITY政策実現に向けて~自治体はどう動く~」
杉野みどり(名古屋市 副市長)
伊藤哲也(宮城県 副知事)
辻 邦惠(豊田市 副市長)
後潟和也(福岡県福祉労働部 労働局長)
[進行]柴橋正直(岐阜市長)
制度化を目指し、2019年からスタートしたWORK! DIVERSITYプロジェクト。これは障害者就労支援サービスをひきこもり、刑余者等、多様な就労困難者にも適用すれば、もっと多くの人が働きやすくなりませんか?というシンプルかつハードルの高い提案です。仮説でしかなかったこのアイデア、全国6都市で実施されてきたモデル事業が、大きな成果を示し始めました。モデルで終わるのか、恒久的制度となるのか?このセッションでは、提言のための政策実現会議議長の柴橋岐阜市長およびモデル事業実施自治体からの登壇で政策化の議論を行います。
■ 17:15–19:30 プレゼンテーション
一般選考(6題程度)
ピックアップ「新たなる領域~障害という芸能価値~」
[ピックアッププレゼン]丸山晴生(アヴニールプロダクション(知的・身体障害者専門芸能プロダクション)俳優)
[進行]遠藤千冬(一般社団法人日本作業療法士協会制度対策部 部長)
この「プレゼンテーション」枠は、多くの人にはまだ知られていない、しかしいまこそ知られるべき価値ある実践を紹介するプログラムです。毎年、全国各地から多数のエントリーをいただいています。今年は「再起動」をテーマに、前例にとらわれない取り組みや、事実を更新する活動に関するプレゼンテーションを期待しています。また、ピックアッププレゼンとして、丸山晴生さん(アヴニールプロダクション(知的・身体障害者専門芸能プロダクション)俳優)によるプレゼンテーション「新たなる領域~障害という芸能価値~」にも要注目です。
※「プレゼンテーション」企画へのエントリーは下記をご確認ください
▶募集要項(PDF)
▶抄録様式(Word)
■ 9:00–10:30 分科会Ⅰ
※①~④は4会場で同時進行/定員あり/事前登録制
①魅せる!福祉的就労の新しい「カタチ」~障害者だからという付加価値(スティグマ)からの脱却~
藤本光浩( 一般社団法人マジェルカ 代表理事)
釘宮謙悟(社会福祉法人博愛会第一博愛寮 施設長)
[進行]三浦舜平(上智大学総合人間科学部社会福祉学科 4年生)
[進行]執行健太郎(上智大学総合人間科学部社会福祉学科 4年生)
福祉的就労では「障害者が一生懸命作りました」と情に訴える手法が主流で、商品そのものの価値が評価されにくい状況にあります。結果、収益が上がらず、工賃や収入が低い状況が続いています。これからは障害者の社会参画を保ちつつ、商品やサービスの正当な評価と適正価格での流通を図ることが必要です。福祉的就労を福祉サービスではなくビジネスとして捉え、商品の価値に焦点を当てることで障害者の収入や働き甲斐の向上を目指す新たな福祉的就労の方向性を示します。
②デジタル業務で活躍する知的障害者~固定観念を打破したその支援力に学ぶ~
長田雅行(社会福祉法人北九州市手をつなぐ育成会経営管理部経営戦略課 課長)
横田博之(社会福祉法人北九州市手をつなぐ育成会デジタル化事業 統括責任者)
瓜生真治(社会福祉法人北九州市手をつなぐ育成会デジタル化事業 現場責任者)
金澤有佳(就労継続支援B型インクルとばた 利用者)
南里光一(就労継続支援B型インクル小倉北 利用者)
[進行]藤田和利(社会福祉法人北九州市手をつなぐ育成会経営管理部 部長)
これはこのプログラムの紹介文ではなく登壇者に向けた主催者からの反省文です。
(1)知的障害者にデジタル業務の中枢作業はできないと思い込んでいました。
(2)知的障害者は軽作業が向いていて安定すると思い込んでいました。
(3)知的障害者は都度指示が必要で提案をすることなどできないと思い込んでいました。
固定観念のまま、支援が行われること、それはその人の人生の可能性を奪うことだと再認識しました。このセッションで、どこまで伝わるでしょうか? 当事者の語る「自分の仕事」に耳を傾けましょう。
③工賃向上最後のチャンス?~新・優先調達~
髙江智和理(NPO法人日本セルプセンター 会長)
城 貴志(NPO法人滋賀県社会就労事業振興センター 理事長)
髙橋宏和(社会福祉法人東京コロニー コロニー東村山 所長)
[進行]竹村利道(日本財団公益事業部 シニアオフィサー)
2013年から施行された「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(障害者優先調達推進法)」は、国や地方公共団体等が率先して障害者就労施設等からの物品等の調達を推進するよう、必要な措置を講じることを定めたものです。発注の実際は、関連する政令の関係で上限額が決まっていました。その改正が果たされたことを知る事業者は少ないのですが、いち早くその機会を生かし、大型発注を実現し始めています。工賃向上最後のチャンスかもしれません。
④就労移行の新たな戦略
家住教志(株式会社シーアイ・パートナーズ 代表取締役)
寺脇康祐(株式会社日本電商 取締役会長)
浦久保康裕(株式会社一心社 代表取締役社長)
[進行]遠藤千冬(一般社団法人日本作業療法士協会制度対策部 部長)
就労移行支援事業を実施しながら、いまだ就労実績がない事業者が多数存在します。実績はあっても、法定雇用率の追い風に乗り、中途半端な支援で戦力とは言えないレベルで就職が果たされることも少なくありません。そこに新たに「特定企業型訓練校」と銘打った就労移行支援で実績を上げている戦略家がいます。その実践から学ぶことは、その手法そのものではなく、ただ漫然と座学を繰り返す、定まらないターゲットのまま面接を繰り返す、といった就労移行支援の見直し、再起動にほかなりません。
■ 11:00–12:30 分科会Ⅱ
※⑤~⑧は4会場で同時進行/定員あり/事前登録制
⑤合理的配慮で障害者の働きやすさは向上しない~同僚としての人間関係を構築することは可能か~
内山浩文(株式会社NTT Sports X 取締役 チームマネジメント部 部長 兼 浦安D-Rocks ゼネラルディレクター)
諸葛 彬(株式会社NTT Sports X チームマネジメント部 浦安D-Rocks ソーシャルデザインアシスタント)
小澤綾子(シンガーソングライター・社会活動家)
富永美保(NPO法人しんせい 理事長)
[進行]丸山 桂(上智大学総合人間科学部社会福祉学科 教授)
[進行]川口実紅(上智大学総合人間科学部社会福祉学科 1年生)
合理的配慮だけで障害者の働きやすさは向上するのでしょうか。最終的に重要なことは、職場における良好な人間関係の構築だと考えます。しかしながら、現状は「腫れ物に触る、触られる」関係で社員同士のあたりまえの同僚感覚にはほど遠いと思われます。同僚である感覚があれば、「法令があるから」ではなく「仲間が働きやすくなるように」と日常的に配慮が生まれるのではないでしょうか。本セッションでは、「職場のあたりまえの人間関係の構築」を図るために必要な視点について、 企業で働く障害当事者、同僚となる一般就労者、人事、ジョブコーチ等、現場で働く人々のリアルな意見や経験を共有し現場目線で協議します。
⑥介助付き就労について考える~当事者を主体に~
油田優衣(NPO法人日本自立生活センター 当事者スタッフ)
宮路拓馬(自由民主党 衆議院議員)
天畠大輔(れいわ新選組 参議院議員)
[進行]嶋田拓郎(一般社団法人わをん 事務局長)
勤務中に介助を受けながらはたらく「介助付き就労」について考えます。重度障害者が働くことを想定しない今の日本社会では、まだまだ遠い希望であり、特別なことです。既存の重度訪問介護は仕事中に使えない。会社のルールで同伴不可。さまざまな“常識”や“ルール”について、重度障害者がはたらくということがそろそろ常識となってもいいのではないかという視点で考えてみませんか?
⑦共同作業場のススメ
佐野望美(NPO法人鳥取県障がい者就労事業振興センター鳥取事務所 ワークコーポとっとり 事業統括)
田中達也(福岡県障がい者就労支援ホームあけぼの園 施設長)
松下知宏(社会福祉法人鳥取福祉会うぶみ苑多機能型事業所 主任生活支援員)
[進行]三善史博(NPO法人セルプセンター福岡 統括事業責任者)
障害者施設が集まり、共同作業に従事するというこの方式、正式な制度ではありません。しかし、鳥取県と福岡県で取り組むこの仕組みは、一施設では受注できなかった、もしくはできたとしても対応できなかった業務に従事することで、障害者のやる気を引き出し、工賃も大きく上昇させています。その効用は、障害者のみならず、職員にとっても他の施設職員との交流がお互いの刺激となり、支援力の向上にもつながっています。共同作業場側と施設職員側からの視点を交え、その効果に触れ、地元での構築を目指していただければと思います。
⑧多様な就労困難者支援の時代~WORK! DIVERSITYは制度化するか?~
原田自由(厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課 課長補佐)
鈴木由美(厚生労働省社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室 就労支援専門官)
犬丸智則(厚生労働省社会・援護局地域福祉課地域共生社会推進室 支援推進官)
清野侑亮(NPO法人シゴトシンク北海道 理事長)
酒光一章(一般社団法人ダイバーシティ就労支援機構 理事)
[進行]今尾武嗣(日本財団公益事業部国内事業開発チーム リーダー)
働くことに困難を抱えているのは医療モデルで認定された障害者だけではありません。ひきこもりやニート、刑余者など多様な人々が地域で生き生きと働ける仕組み。そのヒントは障害者就労の仕組みにありました。手のひらから零れ落ちる就労困難者への課題意識を持つ厚生労働省の方もお招きし、既存の制度をほんの少し見直してWORK! DIVERSITYを実現する、そんな小さくて大きな社会変革を目指す分科会です。
■ 13:30–14:10 パネルディスカッション②
「福祉的就労をやめる↔本気の就労支援を始める~就労継続A型廃業問題も含めて~」
公募応募者4名
[進行]竹村利道(日本財団公益事業部 シニアオフィサー)
基調セッションのチャレンジドらいふに触発されたか、または原点に立ち返ろうとしただけなのか、福祉的就労をやめ、利用者を労働者に変えていく事業を模索する人たちがいます。その本質は、“福祉ビジネス” 寄りの助成金のためなのか?雇用というものは利益があってこそという“ビジネス感覚” 寄りなのか? 本セッションでは、そもそもなぜ障害者就労支援を行うのか、そしてどこを目指すのか、話題の「就労継続支援A型の廃業」の視点も含め、再起動を図る議論を目指します。
■ 14:15–14:45 特別講演
「日本一小さい営業マン~明るく・楽しく・ポジティブに~」
山﨑海斗(株式会社エー・ワイ・エス PR営業部)
「はたらく」ということの喜びはこういうことなんだとあらためて実感します。そして「はたらきたい」という願いをもつ人の支援にかかわるということは、こういう喜びを知っているからなのだという忘れがちな原点が蘇ります。短い講演ですが、彼のフルサイズの人生を体感してください。
■ 15:00–15:55 パネルディスカッション③
「共生社会Ver.2025~はたらくことをあきらめない~」
斉藤 猛(江戸川区長)
山中光茂(医療法人社団しろひげファミリー しろひげ在宅診療所 院長)
塚本さやか(NPO法人東京ソテリア 就労部門運営管理)
[進行]木村弥生(日本財団公益事業部 アドバイザー)
[進行]竹村利道(日本財団公益事業部 シニアオフィサー)
首長自ら多様な就労困難者への支援策を構築する江戸川区。元首長で開業医が、ひきこもりだった人をスタッフとして始めた駄菓子屋。このまちは包摂的で多様性のある次世代の共生社会の可能性を秘めています。障害者のみならず、生きづらさを抱えた人が、はたらくことをあきらめない事業づくりについて、新たに着手した事業から今後の展開まで、フィージビリティ(実現可能性)のある着地を図ります。
■ 15:55–16:00 エンディング
※所属は2024年9月16日時点の情報です
※プログラム、登壇者は予告なく変更される場合があります