2006年施行の障害者自立支援法~現在の障害者総合支援法により、障害者就労支援は加速し、事業所は拡大、予算は1兆円規模に迫ろうとしています。
福祉的就労や一般就労に従事する障害者は100万人を超え、社会からの要請も高まっています。
私たち「就労支援フォーラムNIPPON」は、障害者就労の現状共有と課題解決を目指し、政治・行政への要望ではなく、支援者のスキルアップ、施策のチェック、安易な動きへの警鐘を常にその立ち位置としてきました。
法が20年を迎えた今、その進化や後退をふまえ、支援者・当事者への要請を明らかにすることを目的に、12年目のフォーラムを開催します。
多数のエントリーから選考された登壇者も決定。12月の2日間、東京ビッグサイトにて、直接・対面で徹底的に議論を交わし、交流を深め、全力で未来へ進みます。
■ 12:00 開場
■ 12:54-12:59 説明
丸山晴生(アヴニールプロダクション 俳優)
■ 13:00 オープニング
主催者あいさつ 尾形武寿(日本財団 会長)
後援あいさつ 伊原和人(厚生労働省 事務次官)
■ 13:15-14:00 基調講演
「障害者自立支援法が目指したもの」
村木厚子(厚生労働省元事務次官)
2004年厚生労働省より世に放たれた「今後の障害保健福祉施策について」通称“改革のグランドデザイン” そこには、①障害保健福祉の総合化、②制度の持続可能性の確保、に加え、③自立支援型システムへの転換が柱として示され、「保護から自立支援へ」「自己実現」「社会貢献」が明示されました。さらに、決意を表わすように「障害者が就労を含めてその人らしく自立して地域で暮らし、地域社会にも貢献できる仕組みづくりを進める」と今後の社会像を明らかにしました。その改革の中心にいたのが村木厚子さん。就労を支援の柱に据え、移行、継続、と事業を組み立てたその眼に映る今の景色を語っていただきます。
■ 14:05–14:55 基調ディスカッション
「障害者総合支援法20年 ~これまでとこれから~」
小野寺徳子(元厚生労働省福岡労働局長)
[聞き手]竹村利道(日本財団公益事業部 シニアオフィサー)
「念願だった」障害者雇用対策課課長に就任後、4年間で「雇用の質」に着目した法改正や法定雇用率の引き上げの実現など、自身の体験と積極的な現場実態把握を通して、多くの変革を果たしてきた小野寺徳子さん。官僚として最後の登板となった福岡労働局長時代には、企業にとって「法定雇用率のためではなく人材確保、戦力化の視点」となるよう“福岡モデル”も構築。退任後も精力的な活動を続けるその眼光は、これからの「変わるべきこと」「変えてはならないこと」を鋭く見据えています。基調ディスカッションは、その視点を引き出し、課題と希望を見出すセッションを目指します。
■ 15:10–16:00 行政説明
「厚労省課長への質問」
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課
[進行]遠藤千冬(一般社団法人日本作業療法士協会制度対策部 部長)
最新の障害者就労支援の施策と今後の動向を把握するために定番となっている行政説明。昨年好評だったライブ回答形式にて、今年も障害者就労に関する福祉、労働のそれぞれで管轄する両課長にお答えいただきます。次の報酬改定、A型はどうなる?雇用率は? 新資格制度は? 等々、タイムリーなテーマを中心に参加者からのご質問をお待ちしています。
※質問は下記までお寄せください
forum_nippon@tobutoptours.co.jp
■ 16:05-17:05 パネルディスカッション①
「不正はなぜ蔓延るのか ~指定と指導のあり方を含め~」
市川 亨(共同通信社 データ・調査報道部 編集委員)
平松 修(名古屋市健康福祉局 元局長)
関原 深(株式会社インサイト 代表取締役)
[進行]竹村利道(日本財団公益事業部 シニアオフィサー)
不正が後を絶ちません。明らかとなっているものは間違いなく氷山のほんの一角です。公費を使う事業は透明性が求められます。と、きれいごとを並べてもなくなることはないでしょう。しかし、事業選定の段階と実地指導、指定更新のタイミング等において行政判断する機会はあるはずです。ところが、ある調査で判明したその実態は、88.5%の自治体が「対応する事業所の増加に担当者の数が追い付かない」と体制の課題を訴え、加えて70.8%が「担当者の異動等でノウハウが定着しない」と回答しています。サービスの質が謳われて久しい社会保障分野において、公費ねらいの貧困ビジネスまがいの業者参入を防ぎ、利用者益を高める良質な支援を充足させることについて議論します。
■ 17:15-18:45 プレゼンテーション
「役に立つ私の失敗。そしてリカバリー」
今年のテーマは「役に立つ私の失敗。そしてリカバリー」。現場の支援者がステージ上でその実践を発表するプレゼンテーション企画です。
A4ペラ1枚の「抄録」でエントリーできます。募集要項は「運営事務局より」でご覧ください。
[進行]遠藤千冬(一般社団法人日本作業療法士協会制度対策部 部長)
■ 19:00-21:00 懇親会
登壇者や参加者との交流や情報交換を目的とした立食形式の懇親会です(別途会費5,000円/300名限定/申込順)。
事業所等の取り組みを発信できるポスターセッション(パネル展示)を実施します。
会期中、特別会場にて掲出することができます。
募集要項は「運営事務局より」でご覧ください。
■ 9:00-10:30 分科会【第1部】
※①~④は4会場で同時進行/定員あり/事前登録制。フォーラム参加申込時、参加希望のプログラムをご登録ください
①THE BEST(就労移行支援)
テーマ「移行できないのは当事者のせいではない」
濱田侑希(NPO法人クロスジョブ 就労支援員)
山田梨紗(メンタルヘルスラボ株式会社 執行役員兼就労支援事業部責任者)
高橋陽子(ダンウェイ株式会社 代表取締役)
[進行]金塚たかし(大阪精神障害者就労支援ネットワーク 事務局長)
利用者は増え続けるものの事業所数は2018年以降減少傾向にある同事業。成果がより問われる事業特性から、実績が伴わない事業者が淘汰されてきているものと推察されます。利用者に必要とされる事業内容とは何か? 移行できないことを「社会の理解不足」などという不確かな説明にすることは通用しません。この事業で生き残ってきた明確な理由とは何か? そこに共通した理念はありますが、各社展開するサービスは特色にあふれ甲乙で判断できるものではありません。そのサービスのあり方を学び、必要とされる支援の本質を理解します。
②THE BEST(就労継続支援A型)
テーマ「A型の矜持」
小林俊介(株式会社With You 代表取締役)
筒井佳朋(株式会社seed 代表取締役社長)
松浦一樹(NPO法人ENDEVOR EVOLUTION 理事長)
[進行]竹村利道(日本財団公益事業部 シニアオフィサー)
フォーラムが開始された2014年に「悪しきA型」として、可視化したA型事業の“不適切” 問題。以降、フォーラムでは継続してこのテーマに取り組んできました。それは、増え続ける公費狙いの事業を退場させるためというその一点。市町村への指導通知では効果が限定的でしたが、スコア方式の導入に至り、今般大きな展開を果たしました。事象としての「大量解雇」は事実として対策が必要ですが、価値あるサービスに淘汰された状況は明るい未来を感じさせるものです。登壇者からの事業説明を通し、障害者就労におけるA型の意義とは何か? を考え、その矜持を深掘りします。
③THE BEST(就労継続支援B型)
テーマ「B型もここまでできる」
釘宮謙悟(社会福祉法人博愛会 副理事長)
髙橋清子(社会福祉法人埼玉福祉事業協会 理事長)
久保田 学(NPO法人支援センターあんしん 常任理事 事務局長)
川田俊介(株式会社グッドファーム 代表取締役)
吉野敏博(NPO法人かながわ精神障害者就労支援事業所の会 サービス管理責任者)
前田崇宏(日本介護事業株式会社就労支援事業部 部長)
[進行]大坪隆成(郡上市 市議会議員)
一般的に、対象者は「一般企業や就労継続支援A型で働くのが困難」とされています。実際に障害がとても重い方が利用されていることも多く、その社会参加を安定的に支援するという視点が重要視されるのは当然です。ただ、「B型だから。障害の重い人だから」「本人も家族も対価は求めていないから」「居場所だから」という“だから”アリバイを繰り返す事業者の犠牲となっている人がいることを忘れてはなりません。本セッションの登壇者は、いずれもB型の事業意義を失わず、対価を生み出している方々。持つべきは福祉理念と経営理念。さあ、あなたはどうする?
④THE BEST(企業就労)
テーマ「コンプライアンス以上」
八重樫祐子(株式会社LIXIL Advanced Showroom 経営管理統括部ココロラボ 室長)
上坂陽太郎(株式会社カン喜 代表取締役)
今野雅彦(NPO法人障がい者雇用支援戦略会議 代表理事)
[進行]遠藤千冬(一般社団法人日本作業療法士協会制度対策部 部長)
二極化する企業就労。その一方の極、「障害者雇用は負担でしかない」と何ら戦略を持たず、代行ビジネスに丸投げ、もしくは不採算部門と割り切る、が、まだまだ多数を占めています。「法定雇用率のため」という呪縛から放たれ、“人材”や“成長”をテーマに「戦略」として捉えることでまったく違った景色を見ている企業と人がいます。大きな企業、中堅の企業、形態や業態はさまざまですが、その取り組みを知ることは呪縛を解くに十分なはず。いっしょに違う極に向かいましょう。
■ 11:00-12:30 分科会【第2部】
※⑤~⑧は4会場で同時進行/定員あり/事前登録制。フォーラム参加申込時、参加希望のプログラムをご登録ください
⑤THE BEST 〝NEXT〟(就労移行支援)
テーマ「就労移行支援のこれから ~雇用先に必要とされる人材を輩出するために~」
白石圭太郎(株式会社チャレンジドジャパン 代表取締役)
清澤康伸(一般社団法人精神・発達障害者就労支援専門職育成協会 代表理事)
田中佑樹(一般社団法人自立学実践研究所 代表)
堀江美里(NPO法人WEL’S 理事)
[進行]遠藤千冬(一般社団法人日本作業療法士協会制度対策部 部長)
移行事業所にとっての実績は「企業に送り出すことができた」こと。しかし、受け入れた企業が「戦力になる」と満足できていると確信をもって言えるでしょうか? ただ、必要な人材を育成すべきとの認識で取り組むとその支援プログラムがどうしても厳しめのものとなり、結果、利用者が他に流れてしまうということもありがちな状況です。この先、雇用率が上昇するなかでますます就労移行支援の重要性が高まる一方、その輩出する雇用の質が企業にとっては「取り組んでよかった」「次の採用も進めたい」となるはずです。質向上と利用者確保のジレンマも含め、サービスのNEXTを探ります。
⑥THE BEST 〝NEXT〟(就労継続支援A型)
テーマ「レゾンデートル ~存在意義~」
水野智大(一般社団法人Agricola 代表理事)
松原佑幸(株式会社グリーンフラッグ 代表取締役)
釣船一満(社会福祉法人南高愛隣会 理事)
[進行]中崎ひとみ(社会福祉法人共生シンフォニー 理事長)
スコア方式という定量的なスケール(内容に議論はありますが)により、晴れて“悪しきA型”ではないと認定された事業者が多数を占める状況となった本事業形態。しかし、これから先も、一般就労ではないが、雇用契約を結び、法定賃金を割る福祉的就労でもない事業は特色でもあり、位置付けが難しい存在でもあり続けます。障害者が働く選択肢としてA型がなぜ必要なのか? スコアでは可視化できていない価値とは何か? 法定雇用率のカウント対象から外れる可能性は? 等の議論を通じ、レゾンデートル(存在意義)はどこにあるのか? 実践者それぞれの報告をもとに導き出します。
⑦THE BEST 〝NEXT〟(就労継続支援B型)
テーマ「脱皮 ~アナログからデジタルへの業態転換~」
田中康雅(株式会社パパゲーノ 代表取締役CEO)
濱野 剣(一般社団法人日本福祉協議機構 代表理事)
田中良典(合同会社ゆめいろ舎 生活支援員)
[進行]三善史博(障がい者しごと支援センター木の実 総合施設長)
永遠のテーマ「工賃向上」。計算式が変わり“向上”しましたが、実態は何も変わっていないことは衆目知るところ。工賃向上の手法はさまざまですが、いま一番のお勧めしたいのはデジタル業務。IT、デジタルと聞いて一番尻込みするのは障害者ではなく実は支援者の方。一歩踏み出してみると可能性が広がることに気が付きます。このセッションでは、アナログ→デジタルへの転換を勧めつつ、実際どんな仕事があるのか? そこにリスクやトラブルはないのか? 対価はどれくらい? といった実態を赤裸々にしつつ、可能性を提示します。
⑧THE BEST 〝NEXT〟(企業就労)
テーマ「『雇用率のため』からの脱却」
西村賢治(株式会社スタートライン 代表取締役)
守屋 優(株式会社マイナビパートナーズDEIソリューション事業部 事業部長)
小野貴也(株式会社VALT JAPAN 代表取締役CEO)
宮地 功(オムロン株式会社グローバル人財総務本部企画室 障がい者雇用システムアドバイザー)
[進行]竹村利道(日本財団公益事業部 シニアオフィサー)
1960年の身体障害者雇用促進法以降、改正を重ね推進されてきた障害者雇用。自立支援法(現・総合支援法)との両輪がわが国の共生を生み出してきたことは皆の誇りです。さらに前進していくために、これまでのナレッジ(知見)やリソース(資産)を活かし、「雇用率のため」という宿題意識をはるかに超えていくことが必要です。すでに各地には先駆的試行や新戦略、雇用率の対象を拡大する考え方など、未来志向の実践と提案があります。新しい取り組みや提起に批判はもれなくセットされるものと承知のうえ、本気で取り組む方々とともに未来を考えたいと思います。
■ 13:30-14:00 特別講演
「就労を社会保障の柱に ~ウェルフェアからワークフェアへ」
炭谷 茂(社会福祉法人恩賜財団済生会 理事長)
長く社会保障制度に関わってきた経験を通して、その持続性に警鐘を鳴らす同氏。諸外国の事情にも精通する眼力と実践を通し、いま「福祉(ウェルフェア)から就労支援(ワークフェア)」への転換を提唱。障害者のみならず、対象者全般に対して就労が社会保障の根幹に据えられたその日本をどう想像しているのだろうか。刮目して拝聴したい。
■ 14:05-14:50 パネルディスカッション②
「WORK! DIVERSITYがある日本 ~人口減少社会のなかで~」
野田聖子(自由民主党 衆議院議員)
宮路拓馬(自由民主党 衆議院議員)
小野寺徳子(元厚生労働省福岡労働局長)
[進行]木村弥生(日本財団公益事業部 アドバイザー)
現行の障害者就労支援制度を、障害者以外のひきこもり・刑余者など多様な就労困難者に拡大する構想「WORK! DIVERSITY(ワーク・ダイバーシティ)」は、6自治体のモデル事業成果をエビデンスにした提言をまとめ、厚生労働大臣、自民党勉強会に提出。骨太方針にも記載され、勉強会は超党派「包摂的就労促進」議連として、基本法を目指すフェーズに入りました。人口減少社会の日本がどう変わっていくのか。主導する国会議員、施策に詳しい元官僚が議論します。
■ 15:00-15:55 パネルディスカッション③
「障害当事者としての責任」
小澤綾子(D-Biz College チーフコーチ)
七野一輝(株式会社オカムラ サステナビリティ推進部DE&I推進室)
小野寺祐子(株式会社IHI 人事部本社人事グループ)
清澤康伸(一般社団法人精神・発達障害者就労支援専門職育成協会 代表理事)
[進行]竹村利道(日本財団公益事業部 シニアオフィサー)
フォーラムのラストプログラムにして炎上必至のセッション。すでに企画段階で反論、批判が届いています。“悪しきA型” に代表される就労支援サービスの質、支援者のスキル向上、共生を遠ざける“代行ビジネス”さらには公費に群がる“社会貢献もどき収益ビジネス”など支援側や雇用側を厳しく追及してきた就労支援フォーラムNIPPONですが、今回踏み込んで「障害当事者の責任」を議論します。法定雇用率、合理的配慮……と雇用される障害者ですが、「雇われていることをあたりまえと考え、努力がなく成長が見られない。それが障害者雇用なのか?」と企業から本音が寄せられることが少なくありません。議論の行方は予測不可能ですが、目を背けず考えたいと思います。
■ 15:55-16:00 エンディング
※現在、プログラム情報のアップデート作業中です
※所属は2025年9月時点の情報です
※プログラム、登壇者は予告なく変更される場合があります